パイロットセンス

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 理紗が乗って来た新型プライムは三ヶ月前に発売されたばかりで、雄二も乗るのは初めてだった。 「祖父の車を借りて来たの。私、アメリカに居て十六歳でドライバーライセンス取ったから運転技能は人並み以上だけど、車の技術的なことは全然知らないのが悩みなの。豊国自動車の社長の娘なのにちょっと恥ずかしいわよね。だから、今日は、色々教えて貰いたくて雄二さんを誘ったの」  嬉しそうにそう話す理紗を見ながら本当に可愛いい笑顔だなと雄二は思っていた。 「御殿場へドライブと思ってるけど、いい?」 「えっ? あっ、はい。じゃあ、東名からだね」 「はい」  理紗はそう言うと、プライムをスタートさせ、駅のロータリーから出た。  雄二はプライムのインストメンタルパネルの中央に取り付けられているスマホを見ながら理紗に聞いた。 「理紗さん、このスマホは?」 「あっ、これ? 確か走行データーをこのスマホの中に蓄積するって言ってたと思うわ。同時にリアルタイムで豊国自動車のクラウドサーバーへ走行データーを送付している筈よ」  それは雄二が知らない事実だった。これは豊国元会長の車だとすると、何かのデーター取得の為の工夫かもしれないと彼は考えていた。  プライムは保土ヶ谷バイバスを抜けて、横浜町田インターから東名高速に入った。
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