3話 転生はノンフィクションです

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3話 転生はノンフィクションです

隼人は、広い草原に出てから結構歩いていた。なのに、周りの景色はほぼ変わらない。 だが、暗闇から出た後に、すぐ大きめの木があったから、さっきのところから離れているのは事実。 「あーあ、早く景色が変わってくんねーかなぁ……歩くのも飽きてきたし」 隼人はうんざりしながらも歩く。歩かないとなにも始まらないからだ。 隼人は、死んだことを思い出すと、よく頭が痛くなる。直前まで幸せで、テンションアゲアゲだったのに死ぬなんて、なんて最悪なんだろうか。 そんな隼人が歩き続けていると、遠くに建物が見えるようになってきた。 「う、うおぉ……洋風の建物だな……あれは城壁か?でけぇな」 どうやら、結構期待出来そうなところだ。この辺りでも発展していそうな地域だし、あそこに向かうのは悪くない。 隼人は、その建物に向かって歩き出した。 向かっている間に隼人の今の状況を教えよう。隼人の服装は、死んだ時と同じ上下ジャージ姿。それにスニーカーがある。 転生は、召還と違って、意識だけを違う体に移すようなものだと思っていたが、死んだ時の環境が残っているのはどうなんだろうか。 死にかけのところで召還されたのかもしれない。 そして、ある程度歩くと少し人を見かけるようになる。装備してる人が多く、皆やる気に満ちている。 「はえー、やっぱ異世界って違うな。というか、研究者を目指していた俺がこんな状況に対応してるのは変な話だな……」 実際、異世界とはあんまりいいもんじゃないようだ。所々で、キモい動物やら虫やらと戦っている人たちも見かけたし、安全な世界ではない。 「この世界の方が死者とか多そうだ……でも、結局この世界でもあの世界でも言えることは同じかもしれない……未来が見られれば対応出来る」 だが、結局根本は同じだ。未来が見られれば死者を出すことは避けられる。完全に……とはいかないが。 隼人がこの世界に呼ばれたのも、未来を見ることに関わっている人間を呼ぶことで、死者を減らそうとしたからかもしれない。 実際迷惑だが、きっとノンフィクションも好きだった隼人が丁度良かったんだろう。 そんなあちこちで乱戦がちょくちょく起きる中、隼人が声をかけられる。 「おいお前、そんな非武装で大丈夫か?」 「え?」 隼人は、最初に声をかけてくるのが異世界ものでいうヒロイン的な美少女を期待していたが、残念ながらゴツいおっさん。 優しそうではあるが、隼人は期待していた分、ぶっちゃけ嫌な気分になった。 「おい、何故そんな嫌な顔をするんだ」 「いや……えっと」 なんか考えを見透かされて焦る隼人だったが、そんな中、何処からか爆音が聞こえる。 「うお……なんだ!?」 「ほう、魔物が罠にはまったな」 なんて物騒な発言だ。罠?どっかのカードゲームの話だろうか。 罠なんて仕掛けたら、仲間が危険に陥るかもしれないし。 隼人は状況を把握出来なかったが、ゴツいおっさんに手を引っ張られる。 「非武装なんだから、一人にしちゃおけねえよ!こっちに来い!」 「は、はいぃ!」 ちょっとビビりながら、隼人とおっさんは走っていった。 ある程度走ると、獣の焦げたような跡が見つかる。かなり大きめで、隼人の前世(?)では見たこともない見た目をしている。 「ちぃ……本命じゃあ無かったか……罠を張り直すから、てめえはその道から町に戻っておけ」 「その道?」 どうやら本命ではなかったらしいが、好きな女性でも捕まえようということなのだろうか。 まあ、そんなことは隼人にとってどうでもいい。おっさんが指を指した方向が安全らしいのだ。それを活用する以外にあるまい。 「じゃ、じゃあ行かせてもらうよ、おっさん!」 「おう、邪魔だ邪魔だ!さっさと行け!」 隼人は、おっさんの指示に従って道を歩いていった。
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