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土砂降りの路地裏で2人、ひっそりと身を寄せた。
伸ばしかけの襟足が首筋に纏わりついていて不快だというのに、後ろの大男がそこに顔を寄せるものだから、余計に不快だった。
「……雨」
「やまねえな」と空を仰ぐ俺の首筋がひんやりとした。寄せた顔をやっとあげてくれたおかげで、外気に触れられたようだ。
「……いっそこのままでもいいだろ」
「はぁ?」
「お前と一緒にいる理由ができた」
「……馬鹿かよ」
路地裏の雨がやまないうちに、人通りが少ない今のうちに、と。
雨に濡れた唇を寄せた。
路地裏の雨は、まだ、やみそうにない。
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