もうひとつの家族

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それ以降は、ずっと部屋に引きこもり、時々話し声が聞こえ、昼夜問わずピアノを弾いていたという当時の涼ちゃん。 森「もちろん話し声は、涼太の声しか聞こえなかったんです、ご両親は」 独り言まで言い出して、どうやって病院に連れて行こうかと悩んだ両親ですが、ある日聞こえた涼太の話す内容に、ゾッとしたんだそうです。 森「涼太はね、その時“ご両親しか知らない話”をしてたんですよ」 音楽一家やった涼ちゃんの家は、ひとりっこの涼ちゃんに対し、そらもう熱心に音楽の道に進むよう、小さい頃から英才教育をしていたんだそうです。 森「お母様がピアノの先生されてて、ご自身もピアノの演奏者としてご活躍されていたんだそうです。お父様はビオラ?だかよくわかりませんけど、弦楽器の奏者やったそうです」 私は音楽に疎いもので、楽器はわからないですね~と言うモーリー。 ピアノ、弦楽器、その他の楽器諸々、とにかくいろいろな楽器に触れさせた幼少期でしたが、その中でもピアノの才能はピカイチやったため、お母さんは喜んだそうです。 やれコンクール、やれ演奏会だのと、それは熱心やったと。 森「でも涼太も年頃になった頃、それなりにやりたいこともあったんです」 もちろん音楽の高校に行き、ずっとピアノをやってた涼ちゃん。 森「毎日毎日、私が聞く限り、遊ぶ間もなく練習ばっかりやったんです」 当時を考えると、友達を作って、遊んで、それなりの学生生活を送れていたかもしれんのに…とモーリー言いました。 森「涼太は、友達はいらないから、誰より練習して、留学をしなさいと、強く言われていたんです」 と。
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