もうひとつの家族

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次に会う日、拒絶されやしないか不安はなかったのかと聞けば。 森「出禁になったらどうしようかと!(笑)でもそうであったとしても、私は多分、通い続けているでしょうね~」 と、穏やかに言う森岡氏。 でも出禁にはならず、今度は涼太に会えたと言いました。 森「私が挨拶をしたら、部屋の扉を開けてくれたんです」 そこで初めて対面したと言いました。 森「身が汚いというわけでもなかったし、部屋も小綺麗にしていましたよ」 はじめて対面し、はじめて通された部屋には、もう“誰かさん”の気配はなくて。 そのことを聞く前に、涼太から話してくれたそうです。 森「いつからの付き合いというのもわからないぐらい、気づいた時には傍にいたと言うてました」 ずっと昔から、良き話し相手であり、相談相手であり、先生やったということ。 でもそれは家の中だけで、決して外で会える人ではなかったと。 森「何かしら理由はあるんでしょうけども、当時すでにそれを知る由はなかったんです」 もう気配も何もなかったからと。 けれども…と森岡氏。 森「涼太にとっては大事な家族のような人で、相手もまたそうであったと思います。涼太は必ず、“ただいま”と帰る場所でもありましたから」 いなくなった今、どうしていいかわからないという感じの涼太だったようですが、そこは森岡氏。 森「私は約束を守ります。これからのことはゆっくり考えればいいんです」 涼太は誰にも言えなかったことや、今何がしたいか問われても考えられないことなど、全てではないかもしれんけども、いろいろと森岡氏に話をしてくれたそうです。 長年連れ添った人を失くした消失感は、そんな簡単に消えるわけもなく、だいぶ尾を引いたと言いましたが。 森「それでいいんですって、丸尾さんも仰ってました」 それだけ自分に影響を与えた人でしたが、本当にこれでよかったのかと思うこともあるそうですが。 森「そこは涼太に謝りました。正解やったかどうか、涼太の様子を見たら、私は間違ったんじゃないかとも思いましたし」 でも涼太は、言うたそうです。 涼「それでも森岡さんがいてくれてるから、これで良かったと思う」 森「当時は“森岡さん”って!!私のこと“森岡さん”って!!(笑)」 今や、『ぽっちゃりマン』だの、『フォレストヒル』だの、多様な森岡使いになっているそうです←
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