若みど誘拐事件簿。

33/64
前へ
/172ページ
次へ
どいうわけだか白無垢の女性が後ろにおる真子さん。 みどりが言いました。 み「真子さん、あなたご自身のことで何か感じたことはない?」 真「何かっていうのは…」 み「お父ちゃん、私から話していいの?」 みどりがおまるに聞けば。 丸「いきなり驚かれるかもしれませんがね、あなたの後ろに、いつからか女性が憑いてはります」 いわゆる背後霊というやつです、と言えば。 真「えっ!?そんなん怖いじゃないですか!」 と怖がるんですけども。 み「悪いものじゃないから安心して大丈夫よ」 それについてはお父ちゃんからよろしく。 とみどり。 そこからはおまるが説明したんですよ。 まずどうしてこの白無垢の人が、真子さんに憑いてるのか。 丸「先に言うておくと、あなたの血縁者とかでは全くない方です」 という前置きをして、おまるが話した理由はこうです。 丸「細かい事情はわかりませんが、あなたに対して親近感がわいたと仰ってますな。それでいて、あなたの努力する姿が誇らしく、母を想う気持ちに惹かれたと、そういうことみたいです」 この白無垢の女性も、当時の自分も“そう”であったと言うたそうです。 そう言われた真子さんね、泣くのをこらえながらも、おまるとみどりに言うたんです。 真「私、お母さんに応えてあげたかったんです。お話、さしてもらっていいですか?」 言えばみどり。 み「あなたひとりで、よく頑張ってきたねぇ。ラクにしていいから、ゆっくり聞かせて頂戴ね」 その前に、お礼を言いたいです、と真子さん。 真「名前も姿もわからないんですけど、ありがとうございます」 白無垢の女性に、そう言いたいと。 真子さんの気持ちは十分、伝わっていました。 その女性が、何度も頷いてたんで。
/172ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23111人が本棚に入れています
本棚に追加