若みど誘拐事件簿。

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リン君と家の外に出てみました。 玄関を出て、門に行くまでの洒落た石畳を右に抜ければ、広いリビングに続く中庭があり、そこのポツンと、母ではない女性が立っていました。 ジッとリビングを見つめていて、俺がちょっと近づいたらピクッと反応あれど、変わらずリビングを見つめるんです。 俺「お母さんおらんくなったから来たんかな」 リ「このご家庭が成り立っていたのは“母の存在”あってこそだとしたら、いなくなった今、崩壊してもおかしくはないでしょう」 女性はリビングを見つめながら、ずっと自分の名前(かと思う)を呟いてるんです。 『私です。〇〇です。お元気ですか?〇〇です』 『私です。〇〇です。お元気ですか?〇〇です』 『私です。〇〇です。お元気ですか?〇〇です』 しばらく黙って。 今度は泣き出したかと思いきや、不穏な空気で叫ぶんです。 『別れたくないです』 『私を家にいれて』 『××君、××君』 それはそれはシクシクと。 名前から察するに、この女性はずっと、この家族の父親を呼んでるんですよ。 おそらく過去の愛人の誰かで、父親に対する未練から、生霊が会いに来た。 そんなところやろうなと、思うわけです。
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