若みど誘拐事件簿。

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みどりが典子さんについて話してる間、誰も何も言いませんでした。 “そんなものありません”と言われ、はぁ?となってた勇さんも、まさかそんな言葉が出てくるとは思わなかったのか、黙ってる…というか、もはや言葉もないというか。 次男や真子さんですら、何も発せず聞いてました。 み「先にあなた方と面談した時に、あなたたちは“良い母”を語ってくれたわね」 そう子供が思ってるということは、それだけ典子さんが“良い母”でい続けたからやと言いました。 み「普段あなた方が“当たり前”と思っていたことは、お母様があってこそなの」 その食材を調理して食べさせてくれたのは? 汚れた洗濯物を洗って畳んでくれたのは? 家をきれいに掃除してくれたのは? み「学生の時、何年もお弁当持って行かなかった?」 それは誰が作ってた? 栄養のバランスは? 彩りは? 誰のため? み「当たり前にありはしないのに、あなたたちはさも“当たり前”に思ってたわよね。違う?」 聞けば誰も答えませんでした。 み「典子さんの意見だけを聞くと、ひどい母親、愛情もないのかって思ったでしょうけど」 母であり、女であり、ひとりの人間やと、みどりは言いました。
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