若みど誘拐事件簿。

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知らない母親の顔を知ってショックかも知れんけども。 み「まずは真子さん」 真「はい」 み「今からでもいい、あなたはやりたい事をしなさい。大学、頑張ってみなさい。お母様が、“同じ女”としてって言った意味がわかる?」 泣いてた真子さん、わからないですって言うたら。 み「自分が叶わなかった“自立”や“したかったこと”、それに対する憧れもあったでしょうけど、なにより“娘”に諦めてほしくない、自分ができなかったことをしてほしいっていう“母心”だと思うの」 母として、と言葉にしなかったのは、ひとりの女性として向けた言葉なんじゃないかと、みどりは言いました。 真「頑張ります。農学部頑張ります」 み「頑張ってね。きっと大丈夫よ」 真子さん、何回も。 「ありがとうございます」「頑張ります」って言うてました。 それを黙ってみてた勇さん。 今度はみどり、勇さんに言いました。 み「ショックだったろうけど、あんたもよく聞きなさいね」 これは、ひとりの男、ひとりの大人に言う言葉よ、とみどり。
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