若みど誘拐事件簿。

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み「あんたは何を期待した?感動の演出?バカなこと言ってんじゃない。あんたはこの家の長男で、もういい大人で、結婚して家庭を築くんでしょ?」 それが“母から”まだ欲しいだなんて、と。 み「あんたが結婚式でやらなきゃいけないのは、“母からの手紙”じゃない。“母への手紙”よ」 そうみどりが言えば、もう勇さんも号泣してました。 み「あなたたち兄弟は、これから今までしなかった“母への感謝”をしなさい」 “お母さん、ありがとう” その言葉が、この家族には足りないと言いました。 み「その言葉があれば、お母様も“しょうもない人生”だとは思わなかったかもしれないわね」 今さらどうにもならないけど、それでも今から感謝の言葉を口にするだけで、これからの自分たちの生き方も変わってくるんじゃないかと言いました。 み「これから妻、母になるだろう彼女さんを大事にしなさい」 お母さんのようにはしないであげてほしいと。 み「私からは以上よ」 ……………………………。 「はぁ?」って言われたとき、難癖つけてくるかと思ったんですけど。 やっぱみどりはすごいなと思いました。 嘘をつかず、典子さんの気持ちもくみ取って、そしてそれをちゃんと家族に伝え、納得させたんですもんねー。 俺も正直考えさせられたし、勉強にもなった。 やっぱみどりと俺じゃ、経験値が違うんやなと痛感しました。
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