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Accident
子供の頃、僕は人を殺したことがある。もちろん、故意に殺したわけではなく、不運な事故だった。だけど、人を殺したことに変わりはない。その事実は、それから三十年経った今でも、僕の心の中に深く刻まれている。
その当時は小学二年生だったので、罪に問われることはなかった。だけど、僕はそれがきっかけで学校に行けなくなったし、外に出ることもできなくなった。三十代後半となった今でも、引きこもり生活をしている。もちろん、仕事なんてしていない。生活は全て両親に面倒を見てもらっている。
僕は自分が小学校を卒業できたのかも、中学校に入学できたのかも知らない。親に与えられたテキストでそれなりに勉強はしていたから、中学卒業程度の学力はあると自負している。だけど、僕にはそれを活かす場所なんかない。毎日インターネットでゲームばかりしているのに、数学の知識や歴史の知識なんか必要ない。
いつまでもこんな生活を送っているわけにはいかないことくらいわかっている。父もとっくに定年退職して、今では僅かな年金で生活している。両親だっていつまでも元気でいられるわけではないし、いつかは死んでしまう。そのとき、今のままでは僕は生きていくことさえできない。
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