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「えーとあと思い入れはどれ位ですか?傘で言うと何本分?」
「思い入れ?え?どういうことですか?別に雨降ってるから、ただ差したいんですけど」
「え?そんなもんなの?何の思い入れもない物捜さなきゃならないんですか、私は。もぉ帰ってよ!傘のことなんてほっといて、帰ればいいじゃない!」
あれ?なんだこのドラマのワンシーンみたいな感じは?
僕何か悪いことしてるかな?
いやただ遺失物の捜索依頼をしに来ただけだ。おかしいのは駅員の方だ!
「ありますよ思い入れぐらい!あれは今日みたいな大雨の日、段ボールに詰め込まれ孤児院の前に捨てられていた時、大雨を遮り僕を守るように差されていたのがその傘でした。その傘には母親と思われる名前が書いてあり、唯一母親の手掛かりとなる大切な傘なのです!」
とまあ、すぐにバレるような嘘をついてしまい駅員の方も呆れて…
「お~~~いおいおい!なんて可哀想な奴なんだい!苦労したんだね…必ず駅員さんがその傘見つけてあげるからね」
泣きながら僕の手をにぎる駅員。
今時お~いおい!と泣くのも珍しいが、とりあえず捜してくれるならいいか。
「で、骨は何本でしたっけ?」
もぉ自分で捜すわーーー!
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