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2回目
「何ということだ!」
何と僕はまたしても傘を電車の中に置き忘れてしまったのだ。
しかも今度は彼女から借りた傘なので、捜さない訳にはいかない。
僕は仕事が終わったあとすぐに駅の係員に捜索してもらおうと、駅の事務室を訪ねた。
「すいません、今日の朝電車に傘を置き忘れてしまいまして、探してほしいのですが…あっ!?」
奥から駅員が出てきた。
年は40代位だろうか、メガネを掛けて頭のてっぺんが薄めの人だった。
まぁつまりは前回と同じ、あのふざけた駅員その人だった。
「はいはいえ~とそれでまず、その傘は捜す価値のあるものですか?…あれ?」
駅員も私に気が付いたのだろうか?
最初の決まり文句は前回と全く同じだった。
「はいはい、とっても大事な傘ですよ。なんと大事な大事な恋人の傘なので絶対見つけてほしいのですが」
駅員は何やらメモ用紙を出してきた。
「そんなに大事なもの何で置いてきちゃったんですかね~で、スリーサイズは?」
なんだかすごい嫌味を言われた気がしたが、ここは広い心でって…スリーサイズ!?
「何であなたに彼女のスリーサイズを教えなきゃいけないんですか!?個人情報ですよ!」
「いや、傘のですけどぉ~」
な~んだ傘のか…待てよ、傘のスリーサイズとはなんぞ?
「あのよく分からないのですが、傘のスリーサイズってなんでしょう?」
駅員は深いため息をついた後、使っていた赤鉛筆を耳に掛けた。
「で、骨のサイズは?ん?骨と言えばこの間もあなた来ませんでしたっけ?」
また骨かよ!本当骨好きだな!それとさりげなくスリーサイズ、スルーしてるし!
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