1回目

1/2
前へ
/5ページ
次へ

1回目

最近買ったちょっと高い傘を、電車の中に置き忘れてしまった。 私はすぐに駅の係員に捜索してもらおうと、駅の事務室をたずねた。 「すいません、今の電車に傘を置き忘れてしまいまして、探してほしいのですが」 奥から駅員らしき男が出てきた。 年は40代位だろうか、メガネを掛けて頭のてっぺんが薄めの人だった。 「はいはいえ~とそれでまず、その傘は捜す価値のあるものですか?」 は?価値があるから来てんだろうが!何か失礼な駅員だな… 「はい出来れば捜して頂けると…」 「え?出来なければ捜さなくていいんですね?」 何だこいつ!? 「というか、捜してください!」 「はいはい最初からそう言ってくださいね、それでその傘は何に使うんですか?」 「いや傘は差すためでしょう?雨降っているので」 何を当たり前のことを! 「え?雨降っていなかったら使わないんですか?いや他にもあるでしょう?駅のホームでゴルフスイングとかするでしょう?ホームでフォームチェック、なんちゃって」 つまんねーよ、つーか使う用途必要か? もっと聞くことあるだろ? 「まぁいっか、でその傘の特徴ですが…骨は何本位ですかね?」 そぉそぉそういうのだよ。でも普通色とかが先だろ? 「え~と確か16本だったはずです」 「え~とそれで骨折の経験は?」 「え?私ですか?ないですけど」 「いやいやあなたじゃないですよ、傘のです傘の」 傘の骨は骨折とは言わねぇだろ! 何なんだこの駅員、早くしないとどんどん電車先に行っちゃうだろうが! 「ないですよ、骨折ないです」 「そりゃないよね、第一傘は骨折とか言わないですよ、お客さん大丈夫ですか?」 おまえが言ったんだろうがーーー! はよ捜せやーーーー!
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加