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俺は気の進まない顔で電車の中刷り広告をボーッと眺めていた。
「お前なあ……今日は大学の合格発表なんだぞ!!もっと緊張感持てよ!!」
そう言ってきたのは中学からの親友の祐介だった。
「ああ、ごめんごめん。で? なんの話だっけ?」
はぁ、と祐介はため息をつくと
「いいか、俺らが受けた法学部に入ることができれば!憧れのあの先輩と同じキャンパスに通えるんだぞ!!」
そういえば高校の一つ上にアイドルグループに入った女の先輩がいたなあと俺は思い出す。
「お前は間が抜けてるから受かってないかもしれないけど、俺は絶対受かってる気がする!!」
祐介は豪語する。
間が抜けているのは残念ながらお前だよ。と声に出さずに思う。
実は昨日のうちにインターネットで合否は確認できたのだ。
そして俺は合格。祐介は……残念な結果だった。
やはりネットで合否が確認できたせいか合否の掲示板の前でも人はまばらだった。
ドサっという音で横を見ると見るも無残な顔で俺に不合格を知らせる祐介。
「とりあえず飯でも食うか」
と俺は半ば強引に祐介を引っ張りあげるとその場を後にした。
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