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“天使のラッパ”は真夜中に投下された。
それが上空数百メートルで炸裂した時、私はとある高層ホテルにいた。
アラートが鳴り響くホテルの中、ある者は冷蔵庫に、ある者はバスタブに隠れ、難を逃れようとしていた。柱時計の中に身を潜めた者すらいた。まるで狼から隠れる仔山羊のように。
隠れ場所の争奪戦に、私は加わらなかった。
生を諦めたわけではない。単に奪い合いが面倒だったのだ。
昔からそうだった。夕食の余り、好きなバンドのコンサート・チケット。欲しいものが誰かと被れば、あっさりと身を引く。これは私の処世術だ。
ただ、目だけは固く閉じておいた。万が一生き延びた時に、視力が失われていては生活に困る。
結局、それが幸いした。
どうやら私は人事不省に陥っていたらしい。次に目を開けた時には、すでに朝になっていた。
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