二〇一八年八月一日の夢

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 よく晴れた一日の始まり。暴力的なまでに強烈な朝の日差しが、かつては窓だった壁の大穴から注ぎ込まれていた。  穴の縁には襤褸を着た少年が佇み、下界を見下ろしていた。 「おい、危ないぞ」  私はまずそう声をかけ、それから身振りで下がるよう促した。  褐色の肌の少年が日本語を解したかはわからないが、どうやら言わんとすることは伝わったらしい。頭を下げ、ペロリと舌を出して退室する。  灰燼を被ったベッドからのろのろと起き上がる。私の客室のドアは熱に溶け、用をなさなくなっていた。顔を洗いたかったが、どうせ水道も電気も使えはしまい。  あの少年が悪戯で持ち込んだのだろうか。部屋にはゴミ箱がいくつも置かれていた。  中を覗くと、白みがかった灰が収まっていた。  即座に理解する。  これは骨壺だ。
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