プロローグ

6/6
前へ
/276ページ
次へ
穏やかな日常に見えるが、最初からこうだった訳ではない。 0歳の頃からここで育った俺とは違ってみんなは途中から、家庭の事情や縁あってこのホームに来たのだ。 それぞれ色んな過去や事情を抱えてやってくるので、ここに来るときには心を閉ざしていたり傷を抱えた奴らばかりだ。 ふと食事をしている詩音に目をやると、穏やかに笑いながら隣の広斗の話に耳を傾けている。 詩音は騒がしい組の竜星、クリス、花音には混じらずに落ち着いた広斗や心優の側にいることが多い。 食事の席もいつだって2人の間だ。 俺はそんなおしとやかな詩音が好きだ。 もちろんホームの家族みんなが大好きだが、詩音に対しては違う。 家族以上の特別な感情を抱いている。 あれはいつからだっただろうか…… 詩音もここに来た時は心を閉ざしていた1人だった。
/276ページ

最初のコメントを投稿しよう!

81人が本棚に入れています
本棚に追加