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頭をぐるぐる回しながら、うなだれていると広斗のスマホが鳴った。
竜星だ。
「……っ、もしもし? お前今どこにおるねん! こっちは詩音がおらんなって、何回も電話かけとんのに!」
慌てて電話に出た広斗は声を荒げてまくしたてる。
穏やかな広斗のこんな状態に緊迫感が伝わってくる。
「ちょ、変わって」
俺も俺で詩音が気になり心配な気持ちから竜星が何か知らないかと、はやる気持ちで広斗からスマホを奪った。
「竜星か? 詩音知らんか?」
「……一緒におる」
「は? お前広斗から連絡入っとったやろ! 何しとったねん!」
予想外の答えに、そうか。詩音は無事なのかという安堵感とおいおい。ほな何しとったねんという竜星への怒りで思わず声が大きくなる。
こちらをどういう状況なんだ?と言わんばかりの顔で見つめている広斗に「竜星とおった」と教えてやる。
すると広斗は血相変えてまた俺の手元からスマホを奪い返して、竜星に怒鳴った。
「お前、詩音には手ぇ上げてへんやろな? 詩音はホームに来た家族やねんから、その辺の女と同じように手ぇ出すなよ言うたやろ!」
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