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俺はその広斗の行動と発言にキョトンとしてしまった。
ん?手を上げる?
竜星の女癖の悪さは知っていたが、詩音の事は事情も知っているし花音と同じように可愛がっているように見えた。
花音と詩音を見る竜星の目には初めて出来た妹のような存在へ戸惑いを見せながらも、不器用なアイツなりに歩み寄りや愛情が見えた。
広斗の発言が理解出来ないで頭を整理していると、今2人がいる場所を広斗が聞き出したらしく
電話は終えていた。
「隣町の海辺や。自転車壊れて帰られへんらしい。
ナオ兄に電話して車出してもらおう」
広斗は少し落ち着きを取り戻しながら、ナオ兄に電話をかけ始めた。
その落ち着きようをみると、どうやら詩音は何もされてないと見てよさそうだ。
ナオ兄とは俺の7つ上で昔ホームにいた人だ。
18になった時にホームを出て、今はダンススタジオでダンス講師として働いている。
身寄りのないガキンチョの俺たちを可愛がってくれた俺たちの兄貴のような存在だった。
近くに住んでいるナオ兄は、たまたま仕事が休みだったようですぐに車で公園まで迎えに来てくれた。
隣町まで向かう道中、広斗が経緯や竜星の話を少し教えてくれた。
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