プロローグ

4/6
前へ
/276ページ
次へ
そして朝食もダイニングテーブルに運び終えた頃、女性陣3名が降りてくる。 毎朝男達の何倍も時間を掛けて化粧にヘアスタイルにオシャレにと支度しなければならない彼女達は、いつも重役出勤だ。 「おはよう……」 「おはよー! ってあれ? また竜ちゃん昨日風呂入らんと寝てもとったん」 「おはよー。アホやん、アイツ」 朝から何回兄弟分にアホだと罵られるのか、竜星は…… しかし同情の余地なく心の中で同意する。 無表情で静かに入ってきた詩音(しおん)と、竜星の失態をケラケラ笑いながら入ってきた花音(かのん)は姉妹だ。 まとめて呼ぶときはシスターズなんて呼んだりする。 見た目も中身も対照的な2人だが、この2人だけはホームの中で唯一血の繋がりを持った本当の姉妹だ。 無言でテーブルを見やり、まだ飲み物が出ていない事に気付いた詩音は静かにキッチンへ足を運び、黙々と人数分のグラスを出して野菜ジュースを入れ始める。 常に周りを見て、気の利いた行動が出来る。このホームの中で1番女性らしい女性だと思っている……のは俺だけじゃないはず。 花音はというと、もう椅子に座って用意された朝食のトーストにかぶりつきながら、リモコンを陣取り好きなチャンネルに変えてクリスとおしゃべりだ。 おちゃらけクリスとは気が合うのか2人が揃えば一気に騒がしくなる。 詩音の更に二つ下にあたる花音はこのホームで1番歳下の中学三年生で、詩音との間だけでなくホームの中での妹的存在だ。
/276ページ

最初のコメントを投稿しよう!

82人が本棚に入れています
本棚に追加