プロローグ

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そして最後にリビングに現れた心優はホームの中で1番の新入りにあたるが、元々詩音と同級生だった。 小学生の時からバレーをしていた心優は身長なんて高2にして170を越えている。 それに加えてベリーショートヘアーときたもんだから、男性に間違えられる事もしばしば…… 過去、本人に『お前カッコいいな』て思わず呟いてしまった時はその強そうな腕っ節で殴られるかと思いきや、満更でもなさそうだった。 去年のバレンタインの数なんて、男顔負けの数のチョコらしい。 俺なんて、かんと詩音と花音からだけ……いや。考えるのはよそう。 悲しくなるじゃないか。 ワイワイとみんなで食べるこの朝食の時間が俺は大好きだった。 というのも、このホームにはかんが作ったルールがいくつかあるのだが 朝は必ずおはようと挨拶するなど小さな決まりもあれば大きな決まりもあり、中でも1番大きな決まりが 《18歳になる歳にはホームを出なければならない》 というルールだ。 俺は今年で18になる。 だから最近はこの朝食の時間があと1年ほどで無くなるという事に寂しさを感じ、この暖かな時間を噛みしめるように朝食を食べている。 家族を知らない俺にとっては、みんなが家族だった。
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