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3時になったら出掛けよう。
今日の約束はアメリカンスタイルのハンバーガー屋さんだ。その店がある駅前で待ち合わせをしている。僕は時計が3時になったのを確認して家を出た。歩いて駅まで行ってから電車に乗る。電車は比較的空いていて座る事も出来たが僕はドアの近くに経って外の景色を眺めていた。
電車の中で視線を感じてそちらを見る。少しポッチャリとした可愛らしい女性がこちらを見ていた。思わず目が合ってしまう。女性がハッと視線を逸らしたが、それから啓汰君との約束の駅まで何度も目があってしまった。
目的の場所に着く。僕は壁に肩で寄り掛かりながら、スマートフォンを弄っていた。
「あの、すみません」
さっきの女性だ。
「あの、名前教えて頂けますか?それと電話番号教えてください。あっ。彼女さんとかに失礼かな?」
「えっ、僕のですか?僕は彼女はいないけれど・・・」
「じゃあ、良かったら教えてください。電車の中で気になってしまって」
そう言うと女の子はスマートフォンをバッグから取り出した。こんなところを啓汰君に見られたら誤解されてしまう。
「でも、僕は・・・」
「友達になって欲しいんです」
断る理由が見つからず、僕は電話番号を教えた。
啓汰君はその女の子が去ってから少ししてやって来た。二人でハンバーガー屋さんまで歩く。
「さっき、女の子といたでしょう」
やっぱり見られていたのか。
「僕妬いちゃったな」
啓汰君?
「あまり心配させないでくれよ」
啓汰君は僕の肩に腕を乗っけた。僕は赤くなってからウンと頷いた。
あの女の子のおかげかな。
終わり
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