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かくれんぼ
キーンコーンカーンコーン。5時間目の授業が終わる音が学校中に流れた。
「はぁ。やっと終わったよ。あぁ!算数の勉強疲れたぁ!」そこに居たクラス全員に聞こえるくらいの大きな声でケンは背伸びをしながら言った。
「ほんとそれ。先生も同じことばっかり言ってさ、分からないもんは分からないっつの」
そのケンの前の席に座っている赤いTシャツを着てるゴロウが後ろを振り返りながら笑いながら言った。
「なぁこの後どうする?暇ならどっか行かない?」今度は窓側の方の一番前に座っているショウタがケンの方の見つめながら聞いた。
「そうだなまぁ帰っても家の手伝いやらされるだけだしいいよ!久しぶりに公園行こうぜ!ゴロウも行くだろ?」
「もちのろん!勉強より遊んでる方が楽しいし!」
ゴロウからの答えを聞くとケンが俺の方を見つめながら
「ジュンは?行く?」
と少し微笑みながら聞いてきた。
「うん。僕も行きたいな。」
「よし!じゃあ皆一回家に帰ってランドセル置いてからカエル公園に集合な!」
ケンが帰る支度をしながら言うと公園に行くメンバーが各々返事をした。僕もオッケーと返事をした。
そして帰りの会が始まってそれが終わると僕たちは少しでも早く遊ぶ時間を確保しようと学校の廊下を走って外に出た。本当は走っちゃだめなのに。
僕は学校の外に出ても走るのをやめなかったというか体が勝手に走り出しているというのが今の僕の状態だ。
そしてしばらくすると僕の住んでいる真っ白い4階建てのマンションが見えた僕はそのマンションが見えると走るスピードをもう一段階上げて猛スピードでマンションの階段を駆け上がった僕の住んでいるの402階つまり4階までノンストップで駆け上がって家のドアを開けた。
「ただぃまぁ」
と息が自分の思うように吸えずいつも言っているただいまの声より力ない感じのただいまになってしまった。
僕がリビングを見ると母親の姿は居ない。
しかしリビングにちっちゃいメモ用紙が一枚置いてあった僕はそのメモ用紙を手に取った。
「ケンちゃんママと一緒に近くのデパートに買い物に行ってくるからおやつは冷蔵庫に入ってるから食べなね」
と綺麗な字で書かれていた。
僕はその場にランドセルを降ろし台所に行って冷蔵庫を覗いておやつと思われるヨーグルトを取ってそれをその場で開け、かき込むようにヨーグルトを平らげた。
その後僕は自分の部屋に向かい引き出しから腕時計を出して自分の左手首に装着した。
時計は3時4分となっていた。
僕は家の壁に固定されている時計をみて腕時計の表示が間違えてないか確認した。
壁時計も3時4分となっていたので僕は玄関に向かい急いで靴をはいてカエル公園に向かった。
公園に着くともう僕以外の3人が揃ってベンチに座っていた。公園に着くの早すぎるだろ。
「ジュン!遅ぇよ!まぁまぁいいや。全員揃ったし久しぶりにかくれんぼでもしない?」ケンが全員の顔を見ながら言った。
「おー!いいね!やろうやろう!」ゴロウが今日イチのとびきりの笑顔を見せながら言った。
「おーいいんじゃない?じゃあジュンもそれでいい?」ショウタが僕にに確認するような感じで言ったので僕は賛成と言ったがケンは口の口角を上げ目はまるで誰かを馬鹿にするような目つきになっていた。例えるならなにか悪巧みをしたような顔つきでこう言った。
「かくれんぼだけどさいつもと同じかくれんぼじゃつまんないじゃん?だからさ、う〜んそうだなぁ、あっそうだ!俺が鬼になるからさ俺に見つかったらなんでも俺の言うこと聞くとかはどうかな?」これを言い終わったケンは今まで僕が見たこともない威圧感を出していて僕の目にはその後ろに真っ黒い煙のようなものが見えた。
「なんだよ!それ!鬼の方が有利じゃんかよ!」ゴロウがその発言に噛み付く感じでケンに言った。
「そう言うと思ったよだからいい案が一つあるそれはお前らの一人でも俺に見つからなかったらお前らの願いを叶えてやる。煮るなり焼くなりそして…俺が憎いなら殺すなりやれや」ケンがそれを言うとその場に居た全員がケンの言葉に凍りついて黙り込んでしまった。僕達が知っているお調子者のケンの姿はもうそこには存在していない。
「制限時間は20分間。公園っていってもここは大分広いからなそれぐらいの時間は貰うぜ。今から1分間隠れる時間を設けるその間に隠れな!よーーいスタート。」
ケンは一方的に話しはじめて僕達は突っ込む暇がなくケンの話を聞いていくうちにもうケンは1、2と数えはじめていた。
僕達はそのケンから逃げるように走ったがそれは隠れるのを探すのではなく公園の出口に向かうために走った。
そして公園の出口に着くと僕達は各々の家に帰るようにしようということになりケンを除いたショウタ、ゴロウ、そして僕の3人は家に帰った。
僕は家に帰ってもずっとケンの事が頭の中からずっと離れなかった。テレビで好きなやつを見ていてもすぐに今日のケンの態度が気になってしょうがない。
寝る時間になり目を瞑ってもケンの事ばかりしか思い浮かばない。まるでケンに恋をしているかのようだ。
結局僕は3時間位しか寝れず学校に行く時間になった。
学校に向かって歩いていてもケンの事しか浮かばない。僕は歩いてる足を止め頭を上に向け空を見上げた。
僕は学校に着き僕のクラスの前のドアにたち恐る恐るドアを開けた。
するといつもそこに座っているケンの姿はなく、ショウタとゴロウは登校していた。
「なぁアイツ今日休みか?」
ゴロウが僕の席に来て言った。
するとショウタも僕の席にきてこう言った。
「さぁでも昨日のあいつはおかしかったよね?まるで誰かに操られてるようだったよ」
腕時計を確認すると
3時45分を指している
公園をでたのは3時44分
アイツはもう数え終わった頃だな
俺はさっきまで皆が集まってた場所に戻った
するとケンがこちらを見つめている
「なぁ…これでいいんだろ?お願いだからあのことは内緒にしてくれよ」ケンがさっきとは違い涙目になりながら俺に頼んでいる
「その事は内緒にしてやる約束だからなだけどかくれんぼはもうスタートしてるよ俺はお前に見つかっただけどあとの二人居るから探せよ」
「おかしいだろ!かくれんぼは俺が言ったんじゃないお前が言わせたんだろ!」
「でも俺は必ず言えとはいってないよ断ることもできたはずそれでも断わないってことは賛成したってことだからお前がショウタとゴロウを見つけられなかったら代表して俺の願いを聞いてもらうほら早く探さないと時間無くなるよ」
俺が腕時計見つめながらいうとケンはそこら中の木や公園の隅の隅まで探しはじめた
家に帰ってるとも知らずに探すなんて馬鹿だな体力の無駄無駄
そうこうしている内に20分経った
俺はケンのもとに行きタイムオーバーと笑い頭を指差しながら言った。
ケンはなにか俺に言おうとしていたが俺はそれを言わさないようにケンの口を手で押さえつけて
「俺の願いを聞いてもらう…それはな」
「えー皆さん大事なお知らせがあります。5年1組の矢部健君が昨日20代の女性をナイフで刺すという事件が起きました。今、健君は警察で事情を聞いているという状況です。私も初めての事でどうしたらいいか分かりませんがこの問題は生徒たちの間にも伝わるのは時間の問題だと思います。なのでこの事をどうするべきが今教育委員会と相談中です。ですからもし万が一生徒に健君の事を聞かれたら今は怪我で入院してるということにしといてください。私からのお知らせはこれで終わります」
一週間前
俺はケンがスーパーでカードゲームのパックを万引きするのを確認した
その次の日もケンがスーパーに入るのを見かけて急いでスマホを取り出しケンの様子を録画した。俺の思ったとおり今日もカードのパックをポケットにしまい万引きしていた
スーパーから出てきたケンに話し掛けて万引きを録画していたのを伝えるとケンはお願いだから内緒にしてくれもうやらないからと手を合わせて言ってきた
俺はいいネタを掴んだと思いケンにこの事を知られたく無かったら俺の言うことに従えと言ったケンはゆっくりした口調でわかったと言った
昨日
「それはな人を刺せ。一回でいいから見てみたいんだよお前が犯罪を重ねるところを。これを断れば俺はこの動画をTwitterにあげるそうしたらお前は瞬く間に炎上し後世に名を残すことになるだろうな」
ケンは頷くこともわかったとも返事をしなかった
俺はポケットから折りたたみ式のナイフを取り出し偶然近くに通りかかった20代と見られる白いスカートの履いた女性の方を指差しやれと言った
ケンは全て悟ったような顔をしていた
その10秒後にケンは女性の腰にナイフを刺していた
ケンはその場から逃げ出すように走っていった俺もその後に続くようにケンとは違い歩いてその場を去った。
偶然にもケンが刺したときには人が全く居なくそこに響いたのは女性の断末魔のような叫び声だけだった。
えっ?なんで人が居ないのにケンが刺したって警察に分かったって?答えは一つしかないだろ?俺がその刺した映像を撮影してそれをTwitterに上げたからだよ。あっでもアイツと約束した万引きの動画は上げてないよ
だってそれはケンと約束したことだからね
今日の夜のニュースはケンでいっぱいなんだろうな。ケン言ってたもんなテレビにいつか出てみたいって。その願い叶えてやったよ。
だから俺に感謝しろよな ケン。
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