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あれから私は王城に連れて行かれ、界渡りと断定された。
界渡りとは、異世界から流れ着く死骸や物の総称だ。
流れ着くという表現をするには意味があった。
必ず大潮の時に現れるからである。
それは海だけと限らず、川や池・・・下手したら井戸などからも出現した。
そんな界渡りは、博物館に展示されるぐらい価値があり、裏で高値で売買されている。
もし、生きたままこの世界に界渡りが流れ着いたと悪人の耳に入れば、誘拐されそういうコレクターに売り飛ばされる。その末路は、よくって監禁、最悪剥製にされ家の装飾の一部として飾られるかもしれないと言われた。
よって、向こうの世界に帰れない私は、この王城で絶滅危惧種ばりの保護生物となった。
因みにその説明を受けた翌日、警護の人達を伴って、博物館にそれを見に行ったのは言うまでもない。そうしたら、何とも言い難しな物ばかりが展示されていた。
溝がちびったタイヤや、ペットボトル、スーパーの袋に空き缶・・・流れ着くとはよく言ったものだ。本当に何処かの浜辺の漂着物であった。
それを神秘物のように展示されてる様は、馬鹿馬鹿しいとしか言いようがない。しかも、水着を着た男女の死体までホルマリン漬けにして展示してあったから吃驚だ。
界渡りと言うだけでこの世界の人と何が違うのやら。
服を脱がされ全裸のその男女に、私は同郷と言う事で手を合わせて博物館を出た。
で、最初の数日間は至れり尽くせりなお姫様♪気分だったものが、慣れてきたら鬱陶しい限りになった。
王城内を散歩するぐらいで警護が付き、そして働かずに食っちゃ寝。
これでは待遇の良いペットで、その行く末は肥満と成人病だ。
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