【国宝級と言われた女は、異世界でも国宝級だった、、、】

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『えっ、何これ!!ひっ、』 目の前の景色が押し寄せる波のようになり、そこに引っ張り込まれたのだ。 上も下も分からない暗い水の中、手足をバタバタさせて藻掻く。 その足掻きも息苦しさで続かず、とうとう口が開いた。 開いた口の中から、空気がガボッと出る。 口の中や鼻に水が入りだし、あぁ…もう駄目だと諦めた所で意識が遠のいていった。 そして、流れの早い海流らしきものに乗った感覚だけが、最後の記憶となった。 どのくらい経ったか、浮遊していた身体が引っぱり上げられた。 そして、ぞんざいに頬をビタン、ビタンと叩かれる。 余りの痛さに気管や鼻に入っていた水がえずくように出た。 『ゲェホっ!ゲホっ!ゲェホっ、』 息が出来る嬉しさでホッとしかけたら、今度は窒息ではなく歯を食いしばるぐらいの寒さが襲って来る。 『う゛ぅ゛っ~~、、、!』 「おい、大丈夫か?!また遺体が出たって通報受けて来てみれば、おっさん、こいつ生きてんじゃねぇかよっ!俺が駆けつける前に助けてやれよ!!こっちは例の殺人事件の遺体でてんやわんやなんだぞ!」 「だってよ・・・うつ伏せで浮いてたら普通死体だと思うべさ、、」 私の状態を確認し、後ろに居たおっさんに文句を言ってる体格のいいハゲ。 「てめぇも紛らわしく、こんな寒い時期に川に落っこちてんじゃねぇよ。鈍くせぇ、、、。お前、名前は?何処から来た?」 『・・・。』 目の前のハゲに感謝と文句を言いたいが、ハゲの後ろに見える景色に驚いて言葉が出なかった。 何故なら私は、ばあちゃんの居間ではなく外に居たからだ。 しかも、ヨーロッパ風の家が立ち並びその後ろに大きな城が見えている。 『此処どこ?!!』 独り言で言ったつもりが、私を助けてくれたハゲがそれに答えた。 「ロンバルって街だが?」 それを聞いて、頭を押さえた私。 これって小説や漫画でよくあるやつか? マジか?!夢か?!幻覚が見える痴呆の一歩手前か?!
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