傘はあたしの気持ちを隠してくれない

「お前、勉強嫌いだったから、いいランクの学校行かせたくて、嘘ついた」
「なんで、あたしといたくないの！？　聡は！」

　クルクルに巻いた髪の毛をあたしは振り乱し叫ぶ。
　雨の中、あたしは叫ぶ。思わず、顔を隠したくて傘を前に倒した。
　でも透明な傘は、あたしの泣き顔を隠してくれなくて。
　あんなに好きだったスケルトンの傘が、今は憎い。

「お前が好きだから。オレは、サッカーの強い学校に県外から呼ばれてるし……さすがにそれでお前の人生左右させたくなくて」
「あたし、聡と離れたくない」
「そう、言うと思ったから」
「だって！」
「お前は、離れると俺を忘れる程度の想いしか俺に持ってないのか？」
「違うよ！　好きだから……」
「じゃあ、わかってほしい。好きだからたまには厳しくする必要もあるって事」

　聡は、悲しそうな顔笑っていた。

　ああ。
　本当は聡だってあたしといたいんだ。