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地元の甘い世界で、のんびり、二人の世界でいることもできる。
だけど聡は、それがあたし達を腐らせることをわかってるから。
「……さとしぃ」
「泣くなよ。せっかくかわいい顔してるんだから」
「聡だって泣いてんじゃん」
「うるせぇ」
やっぱり、スケルトン傘はいい。
こうやって、お互いの気持ちがありのままに見えるから。
あたしはギュッと傘を握りにっこりと笑った。
「好きだよ、聡」
「知ってる!」
満面の笑顔を傘越しに見つめあうあたしたちは、きっとこれからもいい関係でいられると思った。
だけど。聡はその日の帰りに傘屋によって透明じゃない傘をあたしに突き出した。
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