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鎧兜に身を固め、十文字槍を身体の横に立てた、完全武装の鎧武者が、そこにいた。
忠右衛門だ。
「犬村忠右衛門定勝、ここに推参。
犬村狐十郎光重、いざ尋常に、勝負」
一騎打ちをせよ。
と、忠右衛門は息子に挑んだ。
「正気か、親父殿。
俺は、銃を使うぞ」
「ひよっこが。
思いあがるな。
我が槍は、天下無双。
そのほうの火吹き棒なぞ、おそるるに足らず」
槍の石突で地面を叩きながら、忠右衛門を挑発した。
忠右衛門の顔色が、青い。
軽口のような言葉とは裏腹に、その表情は固く緊張していた。
「親父殿。
本気なのか」
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