家啖い

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 忠右衛門はよく笑う。  つられて彼の家来たちも笑った。  すると突然、摩利藻の足下で、小石が砕けた。  わずかに遅れて、雷が落ちたような大きな音がした。  忠右衛門たちの笑顔が凍りつき、ついで、忠右衛門は満面朱をそそいだ。 「おのれ、バカ息子」  大音声で、雷の音がしたほうへ、叫んだ。  山の奥のほうで、まず笑い声が起きて、それから、 「どうだ、親父殿。  うまくなっただろう。  わざと、はずしたんだぞ。  どうやら、俺は筋がいい」  得意げに、声は言った。 「たわけ。  うつけ。  恥さらし。  罰当たり。  きんかん頭。  はげねずみ」  額に浮きでた血管をひくつかせながら、忠右衛門はおもいつくかぎりの罵詈雑言を吐き、そのうち喉に限界が来て、せきこんだ。
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