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名主の家に、村の主だった面々が集まって、話し合いになった。
「まちがいねーのか?」
藁でもいいからとにかく掴もうとしている溺れる者のような顔色で、村人Aがたしかめた。
「若い衆にも見に行かせた。
まちがいねぇ」
名主が、うなずいた。
ああー。
と悲鳴とため息とを混ぜたような、絶望的な声が、全員から漏れた。
「えらいことじゃ、えらいことじゃ」
村人Bが、合掌した手をこすり合わせながら、プルプルと震えた。
「そっとしておけば、すぐに、いなくなるんでねぇのか?」
「ンだ。
そーっとしとけばよー」
「ンだ。
前触れもなく、フラっといきなし現れたんだ。
いきなし居なくなったって、不思議はねえ」
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