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名主は首を横に振った。
「そっとしておいて、居なくなるなら、それでいい。
だがよ、居なくならなかったら、どうすっだ?
居なくなってくれるまで、じーっと待つのか?
何年もかかるかもしれねぇぞ。
待つか?
いつ妖怪が山から降りてくるか、わからねぇんじゃ、おちおち野良仕事もしてられねぇだぞ。
田んぼはどうすっだ?
畑は?」
村人たちは、暗い表情になって、黙った。
「やっぱし、お上に報せねば、なんねぇのか?」
村人Cが訊いた。
「でもよ、お上ってのは、すぐ来てくれんのけ?」
「すぐには、来てくれめぇな」
「それまで、どうすっだ?
それこそ田んぼは?
畑は?」
「待つしか、あんめぇな」
「それじゃ、どのみち、一緒でねぇか」
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