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土浦駅〜岩瀬駅
村雨秀明の駒となった田中勇気は苛立ちと戦っていた。土浦駅でレンタサイクルして亀城公園にやって来た。北島を見つけた。公園は土浦市のシンボル的存在だ。50本のソメイヨシノが絢爛に咲き誇ろっている。
櫓門、霞門、高麗門など本当に素晴らしい。秀明からの依頼は北島を不幸にすることだった。ただ殺すのではなく、生き地獄を味合わせないといけない。北島は実の娘、友梨を島に殺されている。友梨は勇気と肉体関係にあった。さらに、宿敵であった島は現在は盟友である。
勇気と北島は45分かけて小田城跡にやって来た。
中世、常陸国南部に勢力を誇った小田氏が築いた城だ。
そこからチャリで20分、北条大池にやって来た。バックには筑波山、桜が池の水面をピンクに染め上げている。
さらに120分、櫻川磯部稲村神社にやって来た。山桜が咲き誇っている。
「世阿弥の謡曲『桜川』の舞台になった場所なんだ」
北島は教えてくれた。
15分かけてチャリを漕ぎ、岩瀬駅にやって来た。足がパンパンになった。
駅の近くにある古民家が、北島が生まれ育った家だ。
父親は北島が12のときに飛行機事故で亡くなっている。
茶の間に通され、北島の母親、北島真里奈がお茶を出してくれた。
冷たい緑茶が欲しかったが文句は言えない。
「あのぅ?レンタルした自転車はどうします?」
勇気は北島に尋ねた。
「レンタル屋のオヤジとは腐れ縁なんだ、取りに来てもらうよ」
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