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羽の生えた子達は、口々に
“世界樹を見た事があるの?”だの。
“小さなあなたは精霊様?”
“ねえ!見て見て!この子の頬っぺたプニプニ!”とか
“髪の毛ふわふわなのに、キラキラ”とか
“瞳の色がキレイ!”とか
“小さいのに瞳の色と同じピアスしてるのね?”とか
“小さくて白いのに、羽は生えてないのね?”
だの、とか煩くて…。
プルプルと頭を振って、一度は振り払ったけど…またワラワラと寄ってくる。
あまり煩くて癇癪を起こしたが、ウエェェーン!と泣く事しかできないって言う。
泣き疲れて寝てしまうと言う大失態をおかした後。目が覚めたのは、樹の香りが立ち込めるリゾートホテルのような…。
僕の隣には、仔犬(狼)姿の温もり要員。僕の下には件の布。
ぬいぐるみ代わりにぎゅうぎゅう抱き締めて、擦りながらうっすら開いた瞼の隙間。温もり要員の背中の影から大きく空いた窓の向こう…枝と葉の重なりが、大きな大きな満月を背負っている。
そうか…今夜は満月なんだ?
群れの狼達は、今頃獣人の姿になっているのだろう。
全員が全員ではなく、狼の姿のままの大人もいたが。そう言えば…母さんが獣人の姿になったのって、あんまり見た事がなかった…かな?
ちょっぴりお腹が空いたけど、もう虫は食べたくない!
ゼリーの雫は甘いのかな?
そう考えると、自然に親指が口に運ばれる。
満月があんまりキレイだから、
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