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「ところでべべ・ドミニク。この左腕の模様は一体どうしたのかな?」
「ダウンタウンに上手なコが居るんだ~。ひとつ入れると止まらなくなっちゃって~☆」
「……………」
タトゥーって本当にエスカレートしちゃうんだ。背中は翼だけのまま手は入れてないけど、肩口にひとつ入れたらもう、事あるごとに増える一方になった。左腕は手首の上までビッシリだ。そろそろ右に入れる図案を考えよう。
「おじいさまは心臓が弱ってらっしゃるから、面会の時は必ず長袖を着るように」
「はぁ~~い☆」
何でも許してくれる祖父だけど、さすがにやっぱりびっくりするかな。うんと長生きして欲しいから、天音の言う通り隠し通そう。
去り際にふと、葵が僕の腕を取った。
「彫り師は恋人なんですか?」
「ステディは持たないってば~。ジョシュアと寝たりもしな~い。呪いのタトゥーになったらコワイもの」
「手遅れかも知れませんね。ここ、上腕の外側……薄く “mine” と彫られてます」
鏡に映すと、ホントだ。うまく死角になるところに。
「ワオ。気づかなかった~。いじらしい事するなぁ」
「これくらいならレーザーで除去出来ると思いますが」
「ヤダよ痛そーじゃん」
「……………」
勲章とか有名税とか、そーゆー類だと思っておこう。
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