午後三時の英雄(笑)

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 午後三時。  きみはいつも、この道を通る。  僕は、きみが通るのをいつも心待にしてるんだ。  今日も、きみはーーほら、この道を通る。  素敵な笑顔で。  青いスカートもよく似合っているねよ。花の髪留めも、可愛らしい。  今日も僕はきみを見る。  ああ、ほら。  きみも、僕に微笑んでくれる。  こんなに僕を見つめてくれるのは、きみだけだよ。  好きになるなっていうほうが、難しいと思わないか?  今日も私は、この道を通る。  途中、使われなくなって放置されている、カーブミラーで衣類の再確認をするのが日課。  よし。  青いスカートも、お花の髪留めも悪くない。  ふと、呼ばれた気がした。  きみ、って。  私のことかな。  どこだろ?  わかんないや。  早く行かないとーー。 ーーパリン  きゃっ!  いきなり、古びたカーブミラーが割れた。危ないと振り向いて足をとめたすぐ傍を、バイクが走り抜ける。  わぁ、轢かれるかと思った。  危ない、気を付けないと。  さて、そろそろいこっと。  ちらっと、割れたカーブミラーを見てから。  私は、鼻唄をうたって歩き出した。  
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