13人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
慣れたように笑って、これ以上無いくらい胡散臭い声色で語りかけてくる。特に話すこともないのに、この人からは自ら口を開く気配が一向にしなかった。
ああ、だから音なんて嫌いなのに……。
ちょっと戸惑った私は、それを隠すように怒りを表現する。こっちこそ人間だもの、私も黙ってることにするわ。
「――そうでした。一つ貴女に質問があったんですよ」
感覚的には数時間黙っていた世界。この人はそれを破って、とっても自然に音を流しこんだ。間もなく続きを話したから、耳に入るのを止めてはくれない。
「貴女はどうして、此処に来られたんですか?」
最初のコメントを投稿しよう!