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「でも良かったです。ちょっとだけ緊張がほぐれたみたいで」
――そう言われればそうだ。
いつの間にか、暗闇の中のような空白の穴から抜け出せていた。
不意に喋ったこの人の声色も、人間らしい汚染された温かさが戻っている。
いつも自分の何かが暴れ出した時、何所にもない原因に恐れて誰かを傷つけてしまう。結局罪悪感しか残らないのだけれど、この人を見てちょっと安心した。
……でもいい加減、話さないと。
『あの』
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