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私の定義と押し付けて、自慢げに語っても、この人からの返事に怯えている。ぐるぐると渦を作って思考を塞き止めるその感情は、今さっき口に出した悩み、それに類似しているだろう。
不器用に体を動かす私を見たからか、何も返してはこなかった。
から、そのまま続ける。
『電車とか、ドアを思いっきり閉める音とか。いろんな不快だらけよ。分かってる、どうしようもないって分かってるけど』
この人も不器用に揺れると同時に、共感と罪悪感、らしい感情が伝わってきた。
一人、が生み出したその静寂からね。
『……貴方が好きな音楽もいらないから、何もききたくない』
知り得ない事だけど、私は笑っていた。自棄に明るい声色が鼓膜を起こす。
あはははって、喉を絞めて笑う。
私は何も辛くない。
本人が辛いだけだもの。
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