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どうも蛍光灯等の人工の灯りが苦手だ。温かみの無く無理に主張したそれは、どこまで行っても心を騒がせる。
軽く深呼吸して、ブレの無い一本道に足を踏み入れる。入り口と同じ空気、色。
わざわざ予約して来たのだから、部屋の案内くらいしてくれたって良いじゃないか。
まあ仕方ない。余念は消すが得だ。
私は手当たり次第、辿り着くべき此処を探す。大半のドアは開かず、廊下には大きな物は無い。
淡々と歩いていると、曲がり角があった。もちろん足を運ぶ。角の先に何があるのか、不安だったり、待ち遠しかったりする。
自分の息が響く。
曲がった先には、先程と似た扉があるだけだ。
だけど、違う点が一つ。
あのドアの隙間から、微かな灯りが漏れている。完全でない暗闇の世界を、尚更不完全にするその光。ちょっと面白い。
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