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「私の名はセリエ!」 「アルバーン王国の第二公女で齢15!」 私は今、恋をしている。 思い人の名はセリオス。 「私の勇者さま!」 でも、私の勇者さまじゃなかった。 勇者さまとの出会いは鮮烈で一生忘れることは無い。 勇者さまに出会う前の私は一つの後悔を永遠に抱えていく事を余儀なくされていた。 その日私は中庭に花を摘みに出た。 (護衛も付けずに) そして攫われた。 (ドラゴンに) 「城にドラゴンが来るなんて!」 しかし、ドラゴンの塒も城だった。 姫と一匹のドラゴン以外は存在しない山深にある古城での生活。 食料や生活に必要な物はドラゴンがどこからか運んで来てくれるし、拘束はされていない。 しかし逃げ出したところですぐ捕まるだろう。 もちろん、お城暮らしのお姫さまがたった一人で険しい山を降りられるはずもなかった。 「私の事は、もう亡き者になっている事でしょうね!」 護衛も付けずに庭に出て、突如飛来したドラゴンに一瞬で攫われた姫の払った代償はあまりに大きかった。 「助は来ない!」 「来るはずは無い!!」 王位継承権第一位の第二公女の失踪として跡目争いのいざこざに巻き込まれたとして早々に処理が行われているかも知れない。
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