運命ならば

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横塚さんを見送った後は、団体客が入ってきた。由香のいる個室からも入口付近のガヤガヤとした喧噪が伝わってくる。団体客はだいたいフリーだ。 ああ、最後に疲れそうだな。 由香はローションとアルコールスプレー、コンドームがテーブルの下にキチンと並べられているのを確認すると、電話が鳴るのを待った。 プルルルル。 「はい。由香です」 「由香ちゃん、お客さん案内します」 団体のお客さんは疲れるけれど、逆に変態さんもいない。まあ普通の仕事をこなすだけ。けれど、皆、一緒に来た仲間に張り合うようにサービスを求めてくるから自分が気後れしてしまう。 トントン。 「はーい」 「お客さん、ご案内します」 あれっ? 最初に来たパチンコで勝ったお客さんだ。亮大さん、どうしたんだろう。 「由香ちゃん、また来ちゃった」 「亮大さん、どうしたの?パチンコまた買ったの?」 照れ隠しに冗談を言う。でもとっても嬉しくて抱きつきたい気分だ。 「気がついたら、ポケットの中からお金が出てきて、由香ちゃんの事思い出しちゃったんだ。どうしてこれ?あげたのに」 「だって、何だか悪いもの。それにそのお金でまた来て貰いたかったから」 「だから、また来たよ。何にもしてくれなくていいから一緒にいたくって」 「しに来たんじゃないの?」 「うん。また話しようよ」 由香は亮大さんの手を引いてベッドに座らせた。
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