act.27

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act.27

<side-CHIHARU>  シノさんのキレイな手が、僕のシャツをギュッと掴んで、シノさんは「抱いてほしい」と僕に言った。  その表情が凄く切なくて、シノさんが本気でそう言ってくれているのがわかった。  たまらなく嬉しかったけど、でも、シノさん今具合悪いの、自分でわかってる?  僕は再びシノさんに向き直ってベッドに腰を下ろすと、シノさんの頬を撫でた。 「凄く嬉しいよ、シノさん。そう言ってくれて・・・」  シノさんが、なんだかほっとしたように表情を緩ませた。  彼は目を閉じると、左頬を包んでいた僕の手に顔を擦り寄せる。  僕はたまらなく切なくなって、シノさんの瞼に小さなキスを落とした。 「でもシノさん、今は身体が弱っているから、ダメだ」  シノさんが目を開いて僕を見た。  明らかに悲しげな顔をした。  僕は、両手でシノさんの肩を撫でながら、言い聞かせるように「男同士のセックスは、抱かれる側に凄く負担がかかるから」と言ったが、シノさんは首を横に振った。 「それでもいい。今、抱いてほしい」  突然シノさんの瞳が、強い光を放った。  今までずっと、熱に浮かされてふわふわした目の色だったのに・・・。まるで別人みたいだ。   ── ああ、忘れてた。  シノさんはこうと決めたら、僕なんて足下にも及ばないくらい意志が強い人なんだってこと。  僕は、あの夜のことを思い出していた。  去年のクリスマス。  巨大ツリーから空中を滑って、シノさんが僕の腕に飛び込んできてくれたあの日。  あの日もシノさんは、今みたいに強い瞳の色で僕を見て、僕の魂を揺さぶった。  シノさんには言ったことがないけど、シノさんは、この世の中で唯一、僕がコントロールできない人。  今も僕が「シノさん、でも・・・」と言い淀んでも、シノさんは首を横に振った。何度も、強く。  僕は思わず苦笑いして、溜息をついてしまう。 「もう・・・、本当に困った人ですね。頑固なんだから」  シノさんは、熱の残りなのか、ちょっと緊張しているのか、胸を大きく喘がせてハッと息を吐き出すと、「うん。俺は凄く頑固なんだ」と言って、僕の両手を握った。 「身も心も、本当にフェアな関係になりたいって、今凄くそう思ったから。だから必要なんだ。俺にとって」  シノさんが言ったことに胸が熱くなって・・・でも、同時に、もうこの人って、本当にどうしたものかしらとも思ってしまった。僕をこんな気持ちにまで、させるなんてさ。   ── ああ、本当に、本当にいとおしいよ、シノさん。  僕は、両手でシノさんの頭から顔、肩を撫でた。  シノさん、身体がガチガチになっていた。 「あのね、シノさん。セックスは、理屈でするものじゃないですよ。こんなに身体を硬くしてするものじゃないです」  ふいに強い表情を浮かべていたシノさんが、急に気弱になった。 「 ── ごめん・・・。でも、俺、俺・・・」  シノさんの顔がくしゃりとなって、僕はたまらずシノさんを抱き締めた。  シノさんも僕の背中を両手を回して、再びギュッとシャツを掴む。  まるで子どものような仕草。  普段男らしい人なだけに、こんな風にされると、それだけでたまらなくなる。 「・・・千春! 千春・・・」  ああ、またシノさん、泣いてるかもしれないって思ったら、僕も胸が苦しくなって。  シノさんの後頭部から首筋を何度も撫でた。 「・・・うん・・・、そうだね、シノさん。僕だって、たまらなく今、シノさんが欲しいよ・・・」  シノさんの身体から香るシノさんの汗の匂いが、僕の鼻をくすぐった。天然の媚薬だ。  僕は意を決した。  別に最後までする=セックスというわけじゃないし、きっとシノさん、これだけ体力が弱っていれば、二、三回イクだけで、きっと睡魔に襲われるはずだ。というか、そうさせる自信、僕にはあるし。  正直、確かにシノさんを最後まで抱きたい欲望はMAXだったが、僕はもうその欲望だけをむき出しにしてセックスをする人間ではなくなっていた。  本当にシノさんのことが大切だから。  だからシノさん、メチャメチャ感じさせるから、覚悟してよ。      <side-SHINO>  心臓は、今にも口から飛び出しそうだった。  もう何度も千春と肌を合わせてきたのに、まるで初めてセックスした時のように緊張していた。  抱いてほしいって言ったこと自体気の迷いはなかったけれど、どうなってしまうんだろうという漠然とした不安感があった。「俺、ちゃんとできるんだろうか」って。まぁ、この場合、できるんじゃなくて、してもらえるかって表現の方が正しいのか。  一応覚悟を決めたつもりなのに、千春は俺からTシャツを抜き取ると、おもむろにタオルで俺の汗で湿った身体を拭い始めた。  すっかり看病モードの手つきに、俺は不安になる。  やっぱり、千春、してくれないのかなって思って。  俺的には、絶対“今”、なんだけど、やっぱダメなのかな。  汗臭過ぎて、そんな気にならないとか?  背中を拭き終わった千春は、俺をベッドに横たえてからも、今度は胸から腹にかけて汗を拭った。  多量の汗を掻いて、ちょっと肌寒くなっていたんで嬉しかったけど、でもその手つきはこのまま「おやすみ」って言われそうな感じで。  俺、思わず頼りない声で「なぁ、千春・・・」と催促するように呟いてしまった。  千春はちらりと俺の顔を見ると、いきなり俺の両膝を左右に開いた。  まだハーフパンツは履いていたけど、突然足を開かれて、俺は思わず「うわっ」ってみっともない声を出してしまった。  開いた足の間に千春の身体が入り込んで来て、丁度その・・・正常位のような体勢になる。  千春の股間が俺のそこと重なって、俺はカッと頬が熱くなるのを感じた。  千春のソコがもうガチガチになっていたからだ。  ハッとして千春の顔を見ると、当の千春はさらりとした表情で、「なに? シノさん」と訊いてくる。「なにか問題でも?」と言わんばかりの口調だった。  俺は、顔を赤くしたまま、「な、なんでもない」と小さく首を横に振った。  だって明らかに、千春のソコは臨戦態勢な訳で。  千春の身体が動く度にゴリゴリと俺の股間が擦られて、恥ずかしながら俺も何だかソコが勃ってきた。  千春に、ハーフパンツと下着を腰骨の辺りまでグッと下げられ、そこもタオルで拭かれる。  うわ、ちょっと・・・。  下世話な話、ソコの毛が半分見えちゃってるんですけど・・・(汗)。  なんかさっさと全部脱がされるよりも、ちょっと恥ずかしい格好というか。  まるでまた熱がぶり返してきたかのように、顔がカッカと熱くなってきてしょうがない。  千春は、俺の身体の傍らに、ポイッとタオルを投げ出した。  さらさらになった俺の肌を確かめるように、胸元からお腹の下までスゥーと一撫でした後、左の骨盤のすぐ下の日焼もしてない白い肌に、キュッと吸い付いてきた。反射的に俺の腰がピクリと跳ねる。  そこって別にそんなに敏感でもないところだと思うんだけど、なんだか執拗に千春はそこを口で愛撫する。舌で舐めたり、唇で挟んでみたり、強く吸ってみたり・・・。  なんだかそれを見てたら、段々変な気分になってきて、俺は明らかに興奮してきているのがバレバレな荒い息を吐き出してしまった。  千春はまるでそれを合図にするかのように、身体を起こす。  千春に愛撫されたそこは、赤い花びらがくっついているような模様ができていた。 「きれいにつきましたね、キスマーク」  千春は、俺の身体についたキスマークを眺めて満足そうに微笑んだ。  そうして覆い被さって来るように這い上がってきながら、「シノさんを抱ける日が来た時は、ここにキスマークをつけようって決めてました」と言った。 「シノさんの肌って実は凄く白いし、ここの筋肉の付き方が凄くセクシーだから、絶対似合うと思って。やっぱり僕の見立ては正解でしたね。写真に撮りたいくらい」  俺の顔の脇に肘をついて、俺の顔を上から覗き込みながら千春は楽しそうに言う。 「しゃ、写真って・・・」 「もちろん、撮りませんよ。シノさん、妙にそういうところ恥ずかしがり屋だから」  千春の指が、額に張り付いていた俺の前髪を優しく掻き上げる。  優しい瞳で真上からじっと見つめられ、また違う意味で心臓がドキドキしてきた。  こうやって改めて近くで見ると、千春って本当にキレイな顔をしてる。  キレイだし、カッコいいし。頭も良くて、背も高くて、足も長い。身のこなしは品があって、どんなことをやらせても上手。 ── こんな完璧な人が、今、凄く優しい目で俺を見つめてる。  ああ、いまだに信じられないよ、千春。  君がこんなに愛してくれてるだなんて。 「・・・千春・・・」  たまらなくなって千春の名を呟くと、千春は少し微笑んで、俺にキスをした。  少し軽いキス。  千春は、右手で俺の頬を撫でながら耳元に唇を寄せ、「もっとリラックスして・・・」と囁く。  セクシーな声と熱い吐息が耳の中に吹き込まれて、俺の身体はぶるりと震えた。  今度は、耳を舐められる。  俺は思わず、身を竦めた。 「く、くすぐったい・・・」  俺が思わず呟くと、千春は少し顔を起こし、「あ、そうですか」としれっとそう言って、再び俺の耳を濃厚に愛撫する。  凄い・・・なんか変な気分だ。  耳をそんな風にされたことって、今までになかったから。  今まで、千春に気持ちよくさせてもらったことは多々あったけど、こんな風に足を割られて、「いかにも受け身」って感じで愛撫を受けたことがなかったんで、やっぱちょっとなんか違う。  気づけば、反対側の左耳も千春の指で愛撫をされていて、背筋がぞわぞわするような心地に襲われた。  自然と自分の息が荒くなっていくのがわかる。 「・・・はぁ・・はぁ・・・はっ、ぁ・・・」  その時、急に喉が引っかかって、俺は「コンコンコン」と軽く咳込んでしまった。  千春が顔を起こす。 「 ── 大丈夫?」 「う、うん・・・ごめん・・・」  俺が口を噤んで小さく喉を鳴らすと、千春はまだ俺の耳を指で愛撫しながら、「咳、我慢しないで出してくださいね。シノさんは今日、すべてのことで我慢するのをやめて」と言った。 「我慢?」 「咳もそうだし、声もそう。出したい時に、出して。我慢しないで。隣の人に聞こえてもいいから」 「え! それはマズいよ!」  千春の言い草に、俺が思わず目を白黒させながら叫ぶと、千春はハハハと笑った。 「大丈夫。今日、お隣さんは夜勤だからいませんよ」  そ、そうなんだ。  確かに隣は看護師さんらしいけど、千春、彼女の勤務体勢まで把握してるんだ。す、凄い。 「ね、だから遠慮は無用です」  千春はそう言いながら、俺の首に顔を埋めると、首筋にそってチュッチュッと軽いキスをしていく。  声、我慢するなって言われても・・・。そう改めて言われると、恥ずかしいっていうか・・・。  耳を愛撫していた千春の手が、胸元に降りる。  あからさまに、千春の長い指が乳首をかすめ、一瞬俺の身体が浮き上がった。  なんか・・・これまでもソコを触られたことは何度もあるけど・・・ずっと耳を触られてたせいかな・・・、なんて言うか・・・あっ・・・。 「声、我慢しない」  ピシャリと千春が言う。 「・・・で、でも・・・」 「でもじゃない。声、出そうなんでしょ?」 「そ、そうだけど・・・」 「じゃ、出して」  確か初めてした時もそれを言われて、それ以降は割と俺も気持ちいい時は声を出してたんだけど、今日は、その、なんていうか・・・いつもと違う声が出そうっていうか・・・。ちょっとヤバい気がする。 「いい声出すまでココ、いじり倒しますよ」  千春はそう宣言すると、ジュッとソコを唇で吸い上げた。 「わっ!」  腹筋がビクリと震える。  千春は、まるで重しのように身体を俺の添わせてきたので、逃れようにも逃れられない。  右側を口で愛撫され、左側は指で愛撫される。  ソコをそんな風に露骨に愛撫されたことないから、たまらなく変な気分になってくる。  あぁ、マズいよ。アソコが、ピクピクしてるのがわかる。  なんで全然違う場所触られてるのに、ソコが勃ってきちゃうんだよ。  きっと俺のソコがピクピクしてるの、千春にもバレバレだ。  今は丁度千春のお腹が当たってるから、きっと些細な変化でも千春に伝わってる。  は、恥ずかし過ぎる・・・。 「ん・・・あっ、ぁあ」  焦りからか、思わず口をついて変な声が出てしまった。  いつもより高めの、変な声。  俺は再びカッと頬が熱くなって、思わず左手の甲で口を塞いだ。  千春は顔を上げて妖艶な笑みを浮かべると、「シノさん、カワイイ・・・」と呟いて、反対側の乳首にも吸い付いててくる。  今度は軽く噛まれ、「あ!」とはっきり声を出してしまった。 「いいよ、シノさん・・・。もっと聞かせて」  そ、そんなこと言われても・・・。  千春は、腹筋の筋を舌で何度も辿り、脇腹にキスを落とす。  それと同時に、ハーフパンツの上から太ももを揉まれた。太ももと言っても、限りなく股間に近い内股をだ。  そのうち、ハーフパンツの左側の裾から手が侵入して来て、柔らかい内股を撫で回される。  またもや股間に触れられてもないのに、ソコがざわめく。  なんか俺の身体、凄く変だ。  それに、なんで千春は、ハーフパンツ脱がさないんだろう。  そんな疑問を思っている間に、千春は、俺の脚の先まで舐め上げていた。  足の指まで舐められて、俺は思わず抵抗する。 「ちょっ! 足、汚いって!」  そこで俺はようやく自分が風呂に入ってないことに気がついた。 「千春、そこ舐める前に、風呂、行かせて・・・」  俺は懇願したが、「お風呂はダメ」と却下される。 「風邪が酷くなるといけないから」 「そんなこと言ったって、裸でセックスするんだから風呂入るのと一緒みたいなもんじゃん!」  俺がそう言うと、千春はパチパチと二回瞬きをして、周囲をゴソゴソと探り、ベッド脇の籠に置いてあった乾いた洗濯物を畳んだ山からバスタオルを引っ張り出してきて、俺の裸の胸から腹を覆った。 「これで大丈夫」  だ、大丈夫って、風呂も入ってない汗塗れの足の指舐める方が、全然大丈夫じゃないだろ!!  俺がジタバタしてると、千春は不機嫌そうに、「もう! ジタバタしないでください!」と声を荒げ、両足を膝裏から掴んで、グッと前に押し上げた。そう、まるで赤ちゃんがオムツを替える時みたいな体勢。  まだハーフパンツを履いてたからマシだったけど、結構これも恥ずかしい格好だ。  千春は俺がまた暴れ出す前に、ハーフパンツの裾を片方グッとたくし上げ、内股の付け根まで露にすると、そこを舌で舐め上げた。 「ふぁっ!」  そこは前から俺の弱いところで、そこを嬲られると腰が砕けたような感じになる。  チュゥッと付け根の辺りを強く吸われ、俺の腰が浮き上がる。 「ハッ・・・、アッ、ぁあ・・・ッ」   ── ああ、ハーフパンツの前がキツくなってきた。 「あッ、んん・・・ッ、う・・・んん・・・」  アソコがジワッとしてくるのがわかる。  あぁ・・・俺・・・。 「シノさん、凄くセクシーだよ」  千春にそう言われ薄目を開けると、案の定、ハーフパンツの前に染みが広がっていた。  ああ、やっぱりお漏らししちゃったみたいになっちゃったじゃん! 「ちょっと・・・ハズい・・・。もう、脱ぐ・・・」  自分で脱ごうとしたその手を、ピシャリと叩かれる。 「ダメ。脱がせるのは僕の特権ですから」   ── なんだよ、その特権って・・・。  千春は、ハーフパンツの前を緩めて、下着ごとゆっくりずらしていく。  なんかわざとゆっくり脱がしてないか? ちょっとそのままそんな風に下げて行っちゃうと・・・。  案の定、下着に覆われていた俺のペニスが、解放された途端腹の方に向かってビンッと跳ねた。  これまでのじれったいほどの濃厚な愛撫で、そこはまだ触れられてもないのに完勃ちになっていた。  もう、なんだか、すべてが恥ずかし過ぎる・・・。  千春がハァ・・・と熱い吐息をついて、ソコを見つめてる。  ソコは明らかに汗以外のもので濡れ光ってて、自分いうのも何だが、結構イヤらしい光景になってて。  千春はペロリと上唇を一舐めした。  物凄く、妖艶な顔。  ああ、俺、マジに食われそう・・・。  そう思ったら、千春が濡れたペニスの裏筋を舌で辿った。 「はっ、あぁッッっ」  むき出しになった亀頭を舌で何度も撫でられる。 「ンンッ! あっ・・・!」  片手でペニスを支えられて、何度も何度も舐められた。  ああ、ちょっと刺激が強過ぎるよ・・・。 「ハッ・・・ハッ・・・ち、ちはる・・・」  千春は無言で俺のペニスを舐め、その下の睾丸をキュッと吸い上げる。 「あぁ・・・あ・・・う・・・んん・・・」  うわ言のように、熱い息に混じって声が出てしまう。  千春の舌はどんどん下にさがっていって、ふいに腰の下にクッションが突っ込まれた。自然、腰が浮き上がった状態になる。更にグイッと脚を広げられた。  ちょっ、千春、こんな格好・・・!  俺がそう言う前に、千春は俺のアナルにまで舌を伸ばした。 「ちょっ!! 待って待って!! タイム!!」 「なに?」  千春が不機嫌そうに顔を上げる。 「そ、そこ・・・、な、舐めるの?」 「いけない?」 「いけないって・・・」  俺も、千春を抱く時はペニスを舐めることはするけど、ソコを舐めたことはない。 「だってそこ、汚いし・・・。俺、風呂入ってないんだぜ?」 「シノさん、抱いてほしいんでしょ?」 「そ、そうだけど。でも、汚いよ・・・」 「もう、しょうがないなぁ」  千春は身体を起こすと、ベッドの下に置いてあった洗面器の中の水でザブザブとタオルを濡らし、ギュッとしぼると、俺の身体を裏返した。 「お尻、上げて」 「え?!」 「上げるの」  千春の腕力に無理矢理、お尻が上げられる。  もうなんだってんだよ、さっきから、恥ずかしいカッコばっかり・・・。 「うわっ・・・シノさん、お尻のライン、凄くキレイ。っていうか、凄くセクシー」  千春がそう呟く。ヒヤリとしたタオルがお尻の間に当てられて、「ひゃっ!」と変な声が出る。 「今拭いてるから、我慢して」  そう言いながら、千春がお尻の谷間を濡れタオルで拭う。  でもなんだか、タオルを折らずに一枚のまま手を当てているせいか、手の動きがリアルにそこに伝わってくる。  まるでソコを揉み込むように拭かれ、なんだかアソコがモゾモゾしてきた。  俺は枕に顔を埋める。  恥ずかしい話、お尻を拭かれているだけなのに、息が上がって来た。  明らかに親指と思しき指が、解れて柔らかくなってきたアナルにタオル越し侵入してきて、「あうっ!」と声が上がった。 「な、なに? なにしてんの?」 「シノさんが汚いって心配するから、拭いてるんですけど」  カァァと耳まで熱くなる。  クプクプと数回中を拭かれ、俺はもう恥ずかしさの極限に達して、再び枕に顔を埋めた。 「 ── あ、全然汚れてないですよ。シノさん、ウォシュレット使ってるでしょ」  う。確かに会社のトイレでいつも使ってるけど。一度興味本位で使ってみたら、病み付きになっちまって。以来、家でせずにできれば会社で・・・っていう、他の人には言えないようなことをしてる。 「これなら大丈夫だね」  何が、大丈夫だって?  背中越し、千春が覆い被さってきて、ベッドサイドの引き出しをゴソゴソ探っている。  千春が何を探しているかすぐわかった。  ローションだ。  いつもは、俺が千春に使ってるもの。  背中にまたバスタオルが掛けられるのを感じた後、キャップを開ける音がして、すぐにクチュクチュと水物が擦れあう音が続いた。  ふいにスリスリとアソコの入口を濡れた指で撫でられた。 「ふぁっ!」 「我慢して。今日、抱かれたいんでしょ?」  そう言われ、俺はシーツを両手でギュッと握って、俯いた。  ああ、凄く、凄く変な気分。 「う・・・っん・・・あっ!」  ゆ、指が入って来た。  前触られた時より、ずっと深い。 「痛い?」  痛くはなかった。異物感はあるけど・・・。あっ、や、ホント、変な感じ・・・・。 「もっと力、抜いて」 「う、うん・・・」  千春の指が俺の中を探るように動いてる。  その場所を見てもいないのに、アソコの感覚だけで何をされているか露骨にわかる。  指を抜き差しされて、全身に鳥肌が立った。  言い方は悪いけど、もうこれだけで何か千春に『犯されてる』ような気分だった。  言い換えれば、「千春のものにされてる」って感じ・・・。  はぁはぁと息が上がっていくのが止められない。 「 ── あ、シノさん、ココ、どう?」  お尻の奥をスリスリと擦られて、腹筋がひくついた。  なんか内側から精液が押し出されるような感覚・・・。   ── あっ、これ・・・っ、ヤバ・・・・!  自分でもペニスがピクピクと震えているのがわかった。きっと俺の股間、かなりヤバいことになってる、絶対。  背後で千春がゴクリと息を飲む気配がした。 「凄い・・・。どんどん先走りが溢れて来てるよ、シノさん・・・。これ、気持ちいい?」  「は、恥ずかし・・・・ッ!!」  俺は思わず、片手で自分のペニスを隠した。  手のひらに濡れた感触。うわぁ、もうベシャベシャじゃないか(汗)。 「あぁ、シノさん、隠さないで」  俺は首を横に振る。  アナルを少し触られてペニスをもうこんなにしてるだなんて、恥ずかし過ぎるだろ、これ。 「凄くセクシーでキレイなのに、なんで隠すの?」  股間を覆う俺の手の上から千春の手が重なり、グイグイと俺の手ごと揺すられる。  まるで強制的にマスかかされてるって感じになって、俺は思わず「ふっ・・・あっぁあっ!」と身を震わせた。  前と後ろ同時に刺激されて、一気に興奮は高まってしまう。   ── ヤバいッ・・・も、もうイキそうだっ! 「いいよ、シノさん、もうイッて」  俺、何にも口に出してないのに、なんでわかるんだよ・・・!! 「もうイキそうでしょ?」  ローションを足されて、アヌスを出入りする指の動きが激しくなった。 「うぅ・・・んんん・・・!」  思わず枕を噛み締める。  千春が後ろから覆い被さって来て、ふいに首の後ろにチュッとキスされる。  まさに後ろから千春にカワイがられてるって感じがして、俺の全身がブルブルと震えた。  アヌスを愛撫していない方の手で抱きすくめられる。  その瞬間、俺は絶頂を迎えた。 「ふっ、あっっ、アァッ!!」  俺の手の中でペニスがしなって、精液が自分の手を濡らしていくのを感じた。 「あぁ・・・あ・・・あぁ・・・」  背中をぶるりと大きく震わせると、首から肩にかけて、タオルに覆われていない素肌に小さなキスの雨を降らされた。アヌスに入っている指が俺をあやすようにゆっくりと動いて、引き抜かれた。ピクリピクリと身体が跳ねる。   ── ああ、俺、とうとうアヌス触られて、イッちまった・・・。は、恥ずかしい・・・  ハァハァと肩で息をしていたら、仰向けにされた。 「シノさん、今、とってもキレイな顔してるよ・・・」  上から顔を覗き込まれ、額に張り付いた前髪をかき上げてくれる。そしてイッた後のペニスを優しく扱かれた。  ペニスの中に残った精液が絞り出される。 「んっ・・・・ぁ・・・」  敏感な状態になってるペニスを刺激されて、冷めかけた甘い快感がジワリとまた広がってくる。  力が入らなくてくたりとなっている脚を再び開かれて、千春の熱い身体が再び入ってくる。  ローションに濡れたアヌス付近に千春のペニスの先と思われるものが触れた。   ── い、いよいよ、俺・・・。  そう思って、ギュッと目を閉じたんだけど、千春のペニスは一向に入ってくる気配はなく、ペニスの先でアヌスの周辺を擦られた。 「ぁ・・はっ、あ・・・」  俺が小さな声を上げると、千春も俺の身体の上で熱い吐息をついた。 「ハァ・・・。 ── これって結構気持ちいいでしょ? 僕もね、シノさんからこうされるの、凄く好きだよ・・・」  アヌスから玉の付け根までグイグイと押されて、凄く妙な気分になる。  確かに俺、これまで無意識にこれ、やっちゃってたかも・・・。 「ヤッ・・・アッ・・・」 「シノさん、また勃ってきたね。いいよ、もっと感じて・・・」 「ハァ・・・ハァ・・・なぁ、千春・・・」 「ん?」 「まだ・・・入れないのか?」      汗で額に光る千春が、にっこりと微笑む。 「うん。 ── 後でね」  千春は体勢を変える・・・というか整えると、「よいしょ」と俺の脚をピッタリとくっつけて上向きに抱えた。  なんだろうと思っていると、重なった内股の合間から千春のペニスが侵入してきて、俺のペニスと重なった。  エッと思っている間に、千春がグイグイと腰を動かし始める。 「わわッ!」  敏感な内股とペニスをいっぺんに刺激されて、思わず大きな声が出てしまった。 「気持ちい?」  あまりの刺激に、俺は返事を返すことができなかった。情けないことに、「あぁ、あぁ」と喘ぎ声だけが出てくる。  まるで激しく挿入してるかのように逞しく腰を押し付けてくる千春はモロ男の顔をしていて、俺はドキリとする。  千春のこんな顔、初めて見るかも・・・・。  千春はハァハァと荒い息を吐きながらも、「シノさんも気持ち良さそうな顔してる。僕も、物凄くイイよ・・・」と甘い声で囁く。 「あぁ・・・っ、あぁ・・・!」 「ハッ、あぁ・・・あー・・・気持ちいい・・・」  千春のソコは凄く熱くて硬くて・・・なんか、もう・・・  膝裏を更に上に持ち上げられて、両足が胸にぴったりとつけられ、千春が更に激しく腰を動かす。  これって、まるで本当に千春に抱かれてるみたいだ。  脚ごとギュッと抱き締められ、キスをされる。 「・・・ん・・・」 「んんっ・・・ぁ・・・僕の方がもう持たない・・・。イッちゃいそ・・・」  熱い声になぜかアヌスの奥がジンとなった。   ── あっ・・・ぁあ・・・奥から、込み上げてくる・・・  俺は口を大きく開けたまま、息をつめた。  ギュッと目を瞑り、千春の背中に両腕を回してしがみつく。  目の奥で白い閃光が瞬いた。 「あっ、シノさん! スゴい、アツッ・・・!」  千春も俺がイクのをペニスで感じたようだ。  千春が腰を強く動かしながら、ビクビクと身体を震わせる。  そこがジンワリと濡れていくのがわかった。  更にギュッと抱きしめられる。 「 ── シノさん・・・大丈夫?」  千春がこれ以上にないほど優しい声で訊いてきた。  ・・・あぁ・・・もう・・何がなんだか・・・ 「眠たくなってきちゃった?」  ・・・確かに・・・目がショボショボして・・・ 「ごめん・・・・」 「いいよ、そのまま眠って。ご飯は、明日の朝しっかり食べるようにしよ」 「・・・ごめん・・・おれ・・・こんなはずじゃ・・・ホント・・・ごめん・・・」 「いいから・・・。も、そのまま目を閉じて・・・」  千春に瞼を撫でられて。  俺はそこで意識を手放した。
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