36.いよいよ

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36.いよいよ

    課長の出勤までに顧客からのクレームがあり、三途川の機転でなんとか対応が出来た。退院した課長の久しぶりの出勤にみんなの気持ちがグッと引き締まる。  三途川とジェイと新人たちと総出で作ったプレゼンを課長が叩く。それをまた練って。 (課長がいると緊張感半端ないな) だから顧客の前に出ると安心してプレゼンができるのだが。  プレゼンへの準備は無事に整い、業務としてはひと段落がついた。もちろん次々と新しい案件が押し寄せてくる。だがそれはいつもと同じで、だから特にどうということがない。元々花チームのポジションはそのためにあるのだから。  次の日は心地いい疲れの余韻に身を包まれて朝早く出勤した。メールを開いて穏やかな顔から表情が消えた。 ―――――――――――――――― ジェローム・シェパード様 河野蓮司さま 宗田 花様 本日14時半より西崎弁護士との面談を予定しておりますので、307応接室においでください。 ―――――――――――――――― (いよいよか……) 始まる、忌まわしい事件再現の拷問をジェイが受ける公開処刑が。 (負けると決まったわけじゃない……きっとジェイが勝つ!)  だが現実は厳しかった。 ●『略取(りゃくしゅ)・誘拐罪』(暴行を伴って誘拐すること) ●『監禁罪』 ●『強制性交等未遂』(レイプ未遂のこと)  これが相田の罪状だ。相田は幾つかの罪状は認めたという。だがレイプと監禁は合意だから不当告発ということで、逆にジェイは訴えられた。 『虚偽告訴罪』 虚偽の告訴、つまりレイプでも監禁でもなく合意だったのに、相田に冤罪を着せようとしたとしてジェイは告訴されているのだ。 「冗談でしょう!? なんでこっちが告訴されるんですか!」  思わず花は叫んだ。怒りに震える、覚えがあるから。 「被害者がきちんと状況を説明の上、合意で無かったと主張しなければ引っ繰り返されやすいんですよ」   
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