37.繋がっていくもの

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   がやがやと賑やかな中を見回す。 (ジェイは?) いつの間にか姿が……と思っていたらコピー室から出てきた。 (なんだ、いたのか) けれどその真剣な顔つきに違和感を感じる。時々気をつけては様子を見た。 「ジェイ、4時」 「まだできる。自分たちが仕事してるのに先輩がいい加減だっていうのは良くないから」 「誰もそんなこと思わないぞ」 「もう普通に仕事したい。お願い」  いつもよりも必死な言い方に、ジェイには分かったと答えて、課長に時間を取ってもらった。 「え!? 事件のこと、全部教えたんですか? それ、無謀じゃないんですか!?」 「あいつは突然蘇る記憶に苦しんでいた。全部話してほしいと言った時の様子は真剣で落ち着いていたんだ。でもなんであんなに落ち着いているのかが分からないんだ」 「連休の間、どうするんですか? 俺、旅行に行っちゃうし」 「大丈夫だ、こっちで考える」 「課長、自分の生活ってしてますか? ずっとジェイのことで追われてるように見えるけど」 「そうか? どうせ彼女いないしな。あいつの世話してるのも結構楽しいんだ」 「ならいいんです。すみません、余計なこと」  そう言えば課長の趣味など聞いたことが無い。 (あの人、仕事が趣味っていうか生きがいっていうか……それじゃ益々彼女できないじゃん)  子どものことを言おうかとも思った。 (まだ……早いよな。それに言うならジェイに最初に言いたいし) もっと落ち着いてから。ジェイだけでは無くて自分もだ。  
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