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「どうした?」
夕方、目の前に立った花を手を止めて課長が見上げた。
「今日はジェイの病院、どうするんですか?」
「先週行ってるからなぁ。それに今日は俺は少し上がるのが遅いんだ。ジェイには言ってある。ここで待ってるって言ってたよ」
「連休になるのに大丈夫なんですか?」
全部を知ってしまったジェイが気がかりだ。
「俺も念のために連れては行きたいんだが。今日は落ち着いているから」
「落ち着いてるのが心配なんです。俺、連れてってもいいですか?」
「お前が?」
「三途さんと交代で付いてくって言ってたでしょ? 俺、行きたいです」
課長が考え込んでいるのが分かる。
「だめですか?」
「いや。助かる。頼んでもいいか? 少なくとも全部を知ったことを友中先生に伝えたい」
「分かりました」
「ジェイ、俺とデートだ」
「え、あの、なに?」
「デート」
七生や桜井がいたら飛びつきそうな言葉。いないからこそ言うのだが。
「花さんには真理恵さんがいるでしょ」
「ばーか、お前の病院に行くの。課長のOKもらってある。終わったらお前んとこに送ってやるから」
「でも今日は行かないって」
「なんだ、俺と行くのがいやか?」
「そうじゃなくて」
ジェイがチラッと課長席に目をやったのを見逃さなかった。
「そうか、俺じゃ頼りないってんだな?」
「違うよ!」
「じゃ、支度!」
「……はい」
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