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37.繋がっていくもの
「マリエ、ありがとう。少し 分かってきたかもしれない」
「ね、まさなりさんとゆめさんに会いに行こ!」
「これから?」
「いいじゃない、別にいつだって」
花が頷くのを見て真理恵は携帯を出した。
「こんにちは! 今花くんと近くにいるんです。ゆめさんたちの予定、空いてますか?」
『…………!』
「はい。じゃこれから伺います」
「びっくりして、それから喜んでた」
「母さん、転ばなきゃいいけど。きっと今頃廊下を走ってるよ」
「そうだね! まさなりさんはきっとテーブル拭いたりしてる」
「あの二人は……変わんないな。すごいことなんだろうな、それも」
「そうだね。あんなに不思議な人生を送っているのにね。なのに変わらない」
玄関を開けようとして、中から飛び出してきた父に抱きしめられた。
「父さん! 父さん、ほら、放して」
「マイボーイ! 車の止まる音を聞いてたんだ」
玄関を見るとそこに椅子があった。
「ここに座ってたの?」
「テーブルとソファを拭いてからね。ゆめさんがじっとしてろって言うから。ここでじっとしてたよ」
真理恵と目を合わせる。真理恵は吹き出さないように耐えている。
「あれから15分くらいは待ったでしょ」
「時間という概念に囚われてはいけない。とっくに私たちは時間に身を捧げているのだから」
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