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(後日談-3 衝撃)
それは花の目の前で起きた。6階の会議室から階段に向かう途中。通路を曲がった時、一番奥の階段の付近にパーッと紙が散乱した。そのすぐ後から人が落ちてきた。駆け下りてくる靴音。花も慌てて駆け寄ろうとした。
「ジェイっ!」
(ジェイ? え、落ちたの、ジェイ!?)
飛び降りてきたのは河野部長だった。
「ジェイ、ジェイ! しっかりしろっ! 俺が分かるか!?」
弱々しくジェイの手が上がるのが見える。
「……れ……れん、れ……」
その手が落ちた。部長がジェイの手を握った。
「待ってろ、救急車呼ぶからな!」
声を上げようとした花の足が止まった。携帯を出しながら部長は握りしめたジェイの手に口づけている……
「階段を落ちた者がいます! 足を滑らせたんです! はい、中野井通りにあるFJビルの西側の6階です、ええ、動かさずにいます。6段目くらいから後ろに落ちて、はい、はい、お願いします!」
「ジェイ、すぐに救急車が来る!」
「れ、ん……れん、」
「分かった、もう喋るな。俺はここにいる」
部長はジェイの手に唇をつけたまましっかりと握りしめていた。
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