274人が本棚に入れています
本棚に追加
(後日談-大事なもの)
「花さん……来てくれるなんて思わなかった」
「久しぶりだよな、お前の家」
そのまま会話が途切れた。花は思いついたように立って冷蔵庫からリンゴジュースを出してきた。
「飲めよ」
グラスに注いでジェイに渡す。ジェイは1ヶ月半振りの花との会話にどうしていいか分からないようだった。
「時間が必要だったんだ」
ぽつりと花が話し出す。
「驚きすぎたのと……ごめん、ショックだった」
「花さん……」
あの後、我に返った花は駆け出してジェイのそばに膝をついた。驚いた部長の顔が目に焼き付いた。けれどその時はジェイの真っ青な顔に、優先すべきことを把握していた。
『救急車、すぐ来ますよね?』
『あ、ああ、今連絡した……』
『知ってます。……聞いてました』
部長はじっと花の顔を見た。
『ジェイが落ち着いたら……お話したいです』
『分かった』
救急車が到着して部長は一緒に病院に向かった。後のことは田中と池沢に花が伝えて対応した。
最初のコメントを投稿しよう!