40.いきなりの決着

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40.いきなりの決着

   一日一緒にいて真理恵の嬉しそうな顔を見ていた。  喋らない間も真理恵のベッドに載せた自分の腕に頭をころんとして真理恵を眺める。 「やだ、どうしたの?」  ちょっと照れている真理恵が可愛らしい。 「可愛いから見てんの」 「ひょえっ!」 「なんだよ、それ」 「だって恥ずかしいこと言うから」 「世界一可愛いって言ってんだけど」 「ひょ、ひょ、」 「やめろよ、その『ひょ』っての。どっから出てきたんだよ」 「どっからって……口から……」 「この口か!」  手を伸ばして抓ろうとしてやめた。 「花くん?」 「やめとく。今はマリエを大事にしないと」 「今だけ?」 「……ずっと、だけど」 「なんで拗ねてんの?」  起き上がって困った顔をする。 「あのさ、母親って子どもが出来たら夫より子どもを取るって言うだろ?」 「そう? かな……」 「なんで? 俺はマリエの中で二の次になるってこと?」  真理恵がくすくす笑う。 「なんだよ」 「花くん、変! まさなりさんとゆめさんはそうやってきたのに」   
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